小児リハビリ(療育)
子どもたちの未来の力になりたい
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当院の小児リハビリ
当院では、以下のようなお子さんに対し、通院によるリハビリを通して運動機能、認知機能、ことばの発達を促しています。
- 生まれつきの病気又は事故などにより、発達の遅れや身体に不自由がある
- 乳幼児健診又は園などで発達の遅れを指摘された
- 日常生活動作(食事・排泄・更衣など)や学習場面において、感覚や運動の問題から起こる身体の使いにくさ、手先の不器用さ、コミュニケーションなどに不安がある
また、個々のライフステージに合わせて地域医療機関、保育園、幼稚園・学校など地域教育機関(特別支援学校含む)と連携し、障害をもつお子さんが身近な地域で生活できるよう支援しています。
リハビリの概要
お願い
- 当院では高齢者の入院・リハビリも行っています。院内では、お子さまから目を離すことのないよう、
お気を付けください。 - 他の医療機関でリハビリテーションを行っている場合は、併用ができない場合がありますのであらかじめ
ご相談ください。
1回のリハビリ時間
60分の個別リハビリ
回数、頻度
保護者の方の希望を伺い、週1回のリハビリを基本としお子さんの状態に応じて調整しています。
リハビリの種類
お子さんの状態にあわせて理学療法、作業療法、言語聴覚療法を実施します。
予約時間
午前
1 | 8:45~9:45 |
2 | 9:50~10:50 |
3 | 10:55~11:55 |
午後
4 | 13:00~14:00 |
5 | 14:05~15:05 |
6 | 15:10~16:10 |
7 | 16:15~17:15 |
※1,6,7の時間帯は予約の希望が多く、ご希望に添えない場合があります。
※基本的にスケジュール通り実施しますが、時間が多少前後する場合があります。ご了承下さい。
リハビリの種類
理学療法
運動麻痺のあるお子さんや運動発達の遅れが疑われるお子さんに対して、ストレッチやさまざまな運動・遊びを通して「自分で出来る」を増やせるよう関わっています。また、ご自宅でも練習が出来るように自主訓練の指導も行います。
粗大運動
大きいバルーン上などでバランスをとり、体幹の運動などを促します。
歩行訓練
お子さんの身体の状況に合わせて歩行器などの歩行補助具を選定し、訓練を行います。
作業療法
お子さんの発達段階に応じてブランコやすべり台などを使った全身運動や粘土操作など手の細かい運動を行い、身体に入ってくる感覚を調整・整理できるように関わり、運動面・認知面・情緒面の発達を促します。
指先の運動
指が上手に使えない、鉛筆・お箸が上手に持てないなどのお子さんに対して、段階に応じた道具の選定や粘土やパズルなどを取り入れながら指先の練習を促します。
視知覚機能
見る力の弱いお子さんに対して、タブレットやパソコンを用いた教材やパズルなどの構成課題を通して「視る力」を養っていきます。
言語聴覚療法
会話によるコミュニケーションと食事に関する問題を評価し、リハビリテーションの提供およびご家庭での関わり方や対策のアドバイスをお伝えします。
コミュニケーション
ことばの遅れや人とのやりとりが苦手、発音が苦手、吃音などのあるお子さんに対して、会話を交えながら正しい発声や口の形を訓練します。
食事
訓練中に実際に軽い食事を摂り、顎や口周りの筋肉を手で固定して咀嚼を促すことで、食べるときにむせる、上手に食べられないなどの問題を改善します。
感覚統合療法
感覚統合とは:
「感覚」とは私たちの身体の内外から受け取ることができる刺激のことを言います。自身の身体を使ったり、道具を使ったり、人とのコミュニケーションをとったり…
私たちは、さまざまな感覚を受け取りながら無意識のうちに周りの環境とうまく関わっています。これは脳に入ってくるいろいろな感覚を、うまく整理したりまとめたりすること(感覚統合)がうまくいっているためです。
その感覚をうまく整理することができないと、情緒面、対人面、学習面、言語面などの発達に困り感が起こってくるといわれています。
当院では、お子さんの学習、行動、情緒あるいは社会的発達を、脳における感覚間の統合という視点(感覚統合療法の理論)で分析し、リハビリテーションの提供およびご家庭での関わり方のポイントをお伝えしています。
例えばキャッチボールの間に
これだけの感覚を駆使しています
◎スイングブランコ
こぐ動作の中には、
・座面におしりが当たる感覚
・顔や手足に風が当たる感覚
・こぐときの筋肉や関節の動き揺れる感覚
・バランスをとるための平衡感覚
など、さまざまな感覚が含まれています。
大きなブランコのように見えますが、ぶら下げる道具を変えることで難易度の調整や身体の使い方を変えることができ、お子さんに合わせたセッティングで実施します。
◎サーキット遊び
組み合わせたいくつかの遊具や道具を使って、身体の多様な動きを経験することができます。また繰り返し行いながらお子さんに合わせた難易度の調整を行っています。
ボツリヌス(ボトックス)療法
ボツリヌス療法とは:
ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。
ボツリヌストキシンには筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。そのため、ボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張をやわらげることができます。
※ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないため、ボツリヌス菌に感染する心配はありません。
効果
手足の筋肉がやわらかくなり、動かしやすくなることが期待できます。ボツリヌス療法とリハビリテーションを併用することで、関節の変形予防や固くなった関節を動かしやすくなる、歩行などの運動が行いやすくなることが期待されます。
治療方法
医師の診断・療法士の評価のもと目標とする筋肉を決め、筋肉注射を行います。当院では注射する際に療法士が同席し、エコーや電気刺激装置を用い目標とする筋肉に正確に注射ができるように行っています。
ボツリヌス療法施療前後の歩行比較
装具を未装着
装具を装着
補装具作製
障害のある方の身体機能を補完または代替する目的で、
補装具は長期間にわたり継続して使用するのが特徴で、特に小児は成長・発達という変化が著しく、適宜身体状況に合わせて作り変え、修正を行っています。
◎「装具採型」について
当院では、歩行補助具のための下肢装具、上肢活動補助のための上肢装具、体幹保護・矯正のための体幹装具の作製を行っています。主治医の指示のもと、担当療法士、装具作製業者によって患者さんの身体に合った装具の作製を実施しています。そのため、学童期など身体の成長が著しい時期でも、身体の成長に合わせて適切な時期に装具の作り直しが可能です。
◎ 側弯矯正装具プレーリーくん
脊柱側弯変形に対する装具療法は矯正を目的として行います。従来の硬性コルセットによる矯正は装具自体が大きいため、身体の運動が制限されたり、痛みや皮膚障害が生じたり等の問題がありました。動的体幹装具「プレーリー君」は、軽量で装具自体がしなやかに身体にフィットするため、これらの問題が解消されています。また、装具の高さも調整できるので、学童期など身体の成長が著しい時期でも、ある程度の範囲は再作製の必要なく調整で対応できます。
◎ 車いす作製
既製品の車椅子では座った姿勢の保持が難しい場合や身体の変形の予防、身体機能に合わせた操作性の調整が必要な場合など、担当療法士と車椅子業者で車椅子の選定やクッションなどの仕様を検討し、作製しています。作製した車椅子は良い姿勢が保持できるように適宜調整、修正をしながら長期間使用できるようにサポートしています。
歩行訓練補助具
ウォークエイド・IVES
歩く際につま先が上がりにくく躓いてしまうといったお子さんに対し、つま先を上げる練習を電気刺激を行いながら実施しています。
トレッドミル練習
トレッドミル上にて歩き、正面左右から歩いている映像をモニターに映し、自身で姿勢を意識しながら歩く練習を行っています。
自助具
自助具
指先に力を入れる、道具を使うのが苦手、手先が不器用なお子さんに対して日常生活や学習場面で使いやすい道具を使用し練習しています。
コミュニケーション
意思疎通の幅を広げるために、お子さんの特性に応じて、支援機器やスイッチ類を活用しています。
お子さんの発達で気になることはありますか?
当院で行っているリハビリ例
運動発達:
「6か月を過ぎても首が座らない」「なかなかお座りが出来ない」、「歩くことが出来ない」、「仰向けで寝た時や立った時にいつものけ反ったり、足が伸びて交叉している」
セラピストによるストレッチや身体を支える手助けをしたり、バランスボールやすべり台などの道具を使用した遊びを通し、自分で遊べる、出来る体験をしてもらう中で運動発達を促しています。
応用動作:
「平坦な道は歩けるが階段は1段ずつしか昇り降りができない」、「走る時に膝が折れる・躓く」、「姿勢が悪く、背骨の歪みを指摘された」など、基本的な動作(座る、歩くなど)は出来ているけれど、全身を使った複雑な動きになると動作が困難になる
実際の場面を想定した階段の昇り降りや走る動作など、注意点を確認しながら練習し、ご家族さんと一緒に自宅でも行える運動指導を行っています。
日常生活動作:
「姿勢がくずれやすい」、「指の使い方が不器用」、「道具が上手に使えない」
全身運動を通して姿勢筋の活動を高め、姿勢の改善を図っています。またお子さんに合わせた座位クッションの作製も行っています。指先の運動や道具の使い方に関してはビーズ操作などの細かな遊びやハサミ、箸操作などの訓練を行っています。
読み書き、視知覚:
「図形の認識が苦手」、「文字を読むのに時間がかかる・行を飛ばしてしまう」、「板書ができない」
見え方に問題があるお子さんに対して評価を行い、特徴を把握した中でお子さんに適した訓練(タブレットを使用した訓練、ジオボードなど)を行っています。
ことば:
「ことばが遅い」、「ことばが増えない」、「文で話すのが苦手」、「質問されたことにうまく答えられない」
ことばの評価を行い、お子さんの発達段階に応じて、おもちゃや絵カードなどを用いたことばの理解、表出訓練などを行っています。
構音:
「発音がはっきりしない」、「言えない音がある(カ行、サ行など)」
舌や口の位置や動きを適切な状態に導くことで、正しい発音への改善を目指します。
吃音:
「音をくりかえす」、「ことばの音を伸ばす」、「ことばにつまってしまう」
環境調整の助言や吃音症状の出にくい楽な話し方の練習を行います。
行動:
「落ち着きがない」、「気持ちの切り替えが苦手」、「こだわりが強い」、「かんしゃくを起こす」
「視線が合わない」、「集団行動ができない」、「友達とうまく遊べない」行動面を評価し、感覚の処理が苦手なお子さんに対しては必要な感覚刺激を取り入れた遊びや活動を通して、認知面・情緒面の発達を促しています。対人関係が苦手なお子さんに対しては遊び・やりとりを通して言語面・認知面の発達を促しています。お子さんの特徴に応じた助言・指導を行っています。
各種検査を実施しています
当院では各種検査を実施しております(下記は一例)。必要性に応じて検査を選択し、評価を実施します。
- 発達検査
新版K式発達検査 - 知能検査
田中ビネーⅤ、WISC-Ⅳ、KABC-Ⅱ、WAIS-Ⅳ - 視知覚機能検査
WAVES - 言語検査
国リハ式S-S法、LCスケール、SLTA
お子さんのようすが気になる方、検査をご希望の方は、当院外来までご相談ください。
小児外来リハビリの診療実績
前年度の初診の小児外来患者と、小児外来利用患者(初診を含む)の内訳のグラフです。
左:初診のグラフ
右:初診以外も含めたグラフ